「何で今まで教えてくれなかったんだよっ」
「…」
「知らなかったの、俺だけなのか…?なぁ」


「それは………
…ごめん、ごめんね…」
「謝る意味が分かんねえよ!!」
―――「栄純君!」「沢村!」「もうやめろ!」
たくさんの人に羽交い締めにされて、俺は囚人のように扉に向かって引っ張られて行った。
待って
待ってくれ
俺はあいつと話したいんだ
うまく話せる自信も
冷静に聞ける自信もないんだけど
あいつの声を聞かせてくれ
聞かせて
涙が止まらなくて俺の頭は自然と下に傾いていたけれど、降谷はそんな俺を見えなくなるまでじっと見つめていたようだった。
ふるやんの過去を栄純だけ知らなかったら・・・。
ふるやんが栄純に何も伝えていなかったのは、栄純が今現在の自分と真っ直ぐ向き合ってくれる存在だったから。辛い過去を知ることで腫れ物を触るように接して欲しくなかったから。それ以上に、栄純の前ではそんな昔のことはどうでもいいものになってしまうからで。
でも、降谷のことを理解したい栄純にとってはどうでもよくない。仲間であり、ライバルであるからこそ水臭いことはしてほしくなかったのに、自分だけ聞かされてなかったということはどういう意味か…。聞かされた過去の悲しさと、痛みを分かち合えなかった辛さでぐしゃぐしゃになってしまう。相手を困らせるのは分かっているのに。
ふるやんは栄純がそこまで激情する…激情してくれるとは思ってなくて、栄純を特別な存在だと思って接していた態度が逆に相手を傷つけたと思って動揺してしまう。何と言ったらいいのか分からない。栄純の気持ちは伝わってくるのに「ごめんね」という言葉しか絞り出て来ない。
周りの人はふるやんの傷に栄純が塩を塗ることになってしまうと思って事を有耶無耶にするのだけれど、当の二人にとっては問題はそこではない。誰にも癒されない二人。お互いこそが処方箋なのに、今は刺激物にしかなれない。誰もが悪くない。でも傷つけ合っていく思春期が好きです。
BGMは宇多田さんの「FINAL DISTANCE」でお願いします(そこまで決まってるんだ)
何でこんなネタを思いついたかというと、ゼミの連絡メールが私にだけ届いていなかったというショックからです(えー)
いやぁこれがシャレにならない事態でして…私の発表がなんとオンリーの次の週に決まったらしく…原稿と発表準備とその他諸々々が一度に襲ってきたあああ…ぎゃふん。
そんなわけで、最初は涙ぼろぼろの栄純単品でした。でも何故か段々と脳内がさわふるさわになっていった不思議。リアルを妄想で乗り切ろうぜ!という防衛本能かもしれないわ(笑)
自宅近くの栗の木が花盛りです。芳香がムンムンです。
PR